アルバムについて
ジャズ初心者の皆さん、こんにちは。今日は、ジャズの歴史に名高いアーティスト、ジョン・コルトレーン（John Coltrane）の名盤「ジャイアント・ステップス」（Giant Steps）について簡単に説明します。
まず、ジョン・コルトレーンとは、1926年生まれのアメリカのサックス奏者で、ジャズの歴史に多大な影響を与えた伝説的なミュージシャンです。彼は、主にテナー・サックスを演奏し、ビバップ、ハードバップ、そしてフリー・ジャズといったさまざまなジャズのスタイルで活躍しました。
「ジャイアント・ステップス」は、1960年にリリースされたジョン・コルトレーンのアルバムで、彼のキャリアの中でも特に重要な作品とされています。このアルバムは、革新的な作曲技法や演奏法によって、ジャズ界に衝撃を与え、後のジャズミュージシャンたちに大きな影響を与えました。
アルバムのタイトル曲「ジャイアント・ステップス」は、特に有名で、コルトレーンの代表曲のひとつとされています。この曲では、彼が独自に開発した「コルトレーン・チェンジ」と呼ばれる複雑なコード進行が用いられており、サックス奏者たちにとって難易度の高い挑戦的な曲として知られています。
「ジャイアント・ステップス」は、ジャズの中でも特に印象的で革新的なアルバムであり、ジョン・コルトレーンの才能が光る作品です。初心者の方々にも、ぜひ一度聴いていただきたい名盤です。その他にも「ヌイマ」や「カウントダウン」などの名曲が収録されており、アルバム全体を通してジャズの奥深さや魅力が感じられます。
時代背景について
ジョン・コルトレーンの「ジャイアント・ステップス」は、1960年にリリースされました。この時期のアメリカは、ジャズが大きな変革期を迎えていた時代でした。その背景には、いくつかの要因があります。
第一に、第二次世界大戦後の1950年代に、ビバップと呼ばれる新しいジャズのスタイルが登場しました。ビバップは、従来のスウィング・ジャズよりも複雑なリズムやハーモニーを特徴としており、チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーといったミュージシャンがその旗手となりました。コルトレーンも、このビバップの影響を受けていました。
第二に、1950年代後半から1960年代にかけて、ハードバップというジャズのスタイルが台頭しました。ハードバップは、ビバップをベースにしつつ、ブルースやゴスペル音楽の要素を取り入れた、よりエネルギッシュで感情豊かな演奏が特徴です。コルトレーンは、この時期にハードバップの流れを汲むミュージシャンとして活躍していました。
このような時代背景の中で、「ジャイアント・ステップス」は、ジャズが新たな方向へ進化しようとする動きの一翼を担っていました。このアルバムでは、コルトレーンが従来のビバップやハードバップの枠を超え、独自の音楽性を追求しています。特に、複雑なコード進行や緻密なリズム、そして独特のインプロビゼーションが、ジャズ界に新風を巻き起こしました。
「ジャイアント・ステップス」は、このような革新的な試みが盛り込まれたアルバムであり、ジョン・コルトレーンの作品の中でも特に画期的な位置を占めています。その後のジャズの歴史にも大きな影響を与え、後世のミュージシャンたちに多くのインスピレーションを提供しました。
アーティストについて
ジョン・コルトレーン（John Coltrane、1926年9月23日 – 1967年7月17日）は、アメリカ合衆国のジャズサックス奏者であり、作曲家でもありました。彼は、特にテナー・サックスの演奏で知られており、現代ジャズの歴史において最も重要で影響力のあるミュージシャンの一人とされています。彼の音楽は、その独特のスタイルと革新的なアプローチによって、ジャズの様々なスタイルに多大な影響を与えました。
コルトレーンは、1940年代後半から1950年代にかけて、ビッグバンドやビバップ、ハードバップのバンドで活動を始めました。彼はディジー・ガレスピーやジョニー・ホッジス、サド・ジョーンズといった著名なミュージシャンと共演し、名声を高めていきました。また、彼は1955年から1957年にかけて、マイルス・デイビス・クインテットの一員としても活躍しました。この期間は、彼にとって重要な時期であり、自身の音楽性を確立するための礎を築いたと言われています。
その後、コルトレーンはソロ・キャリアに転向し、数々の名盤を発表しました。「ジャイアント・ステップス」（1960年）、「マイ・フェイバリット・シングス」（1961年）、「ア・ラブ・シュプリーム」（1964年）などのアルバムは、今日でもジャズの名盤として高く評価されています。
ジョン・コルトレーンは、音楽的なスキルと独創性に加え、その精神性や哲学的な考え方でも知られています。彼は音楽を通じて、自己の内面と向き合い、スピリチュアルな表現を追求していました。そのため、彼の音楽は、リスナーに強烈な感動や内省のきっかけを提供することが多いです。
残念ながら、彼は1967年に40歳で亡くなりましたが、その短いキャリアの間に残した功績は、ジャズ界に多大な影響を与え続けています
コルトレーンチェンジとは
「コルトレーン・チェンジ」とは、ジャズのサックス奏者であるジョン・コルトレーンが開発した独特のコード進行（和音の並び方）のことです。これは、彼の代表作の一つである「ジャイアント・ステップス」において、特徴的な部分として用いられています。
コルトレーン・チェンジは、いわば音楽のパズルのようなもので、同じパターンを繰り返すことで、異なるキー（音階）に移行していく技法です。中学生にわかりやすく説明すると、これは、ある和音から別の和音へと移動する際に、特定のパターンを繰り返すことで、音楽がさらに面白くなるような効果を生み出す方法です。
例えば、ピアノを弾いている時に、ある音から次の音へと指を動かす方法がいくつかあるとすると、コルトレーン・チェンジはそのうちの1つの方法で、特定の音の組み合わせを使って、さまざまな音楽の表現を楽しむことができます。
この技法は、ジャズの演奏者にとっては難易度が高く、練習や経験が必要ですが、成功したときにはとても美しい音楽が生まれます。ジョン・コルトレーンは、このコルトレーン・チェンジを使って、独自の音楽スタイルを確立し、ジャズの歴史に名を刻みました。
もう少し詳しく
コルトレーン・チェンジは、主に2-5-1というコード進行をベースにしています。これは、ジャズで非常に一般的なコード進行で、あるキー（音階）の第2度、第5度、第1度の和音を順番に弾くことを意味します。たとえば、Cメジャー・キーの場合、Dm7（第2度）、G7（第5度）、Cmaj7（第1度）の順に和音が進行します。
コルトレーン・チェンジでは、この2-5-1のコード進行を、3つの異なるキーに適用し、それぞれのキーが互いに完全4度または完全5度の関係にあるように配置します。例えば、Cメジャー、Fメジャー、B♭メジャーの3つのキーがあります。この3つのキーを使って、コルトレーン・チェンジを構築することができます。
具体的な進行の例を挙げると、以下のようになります。
- まず、Cメジャーキーの2-5-1進行（Dm7 – G7 – Cmaj7）を弾きます。
- 次に、Fメジャーキーの2-5-1進行（Gm7 – C7 – Fmaj7）を弾きます。
- 最後に、B♭メジャーキーの2-5-1進行（Cm7 – F7 – B♭maj7）を弾きます。
このように、コルトレーン・チェンジでは、異なるキーの2-5-1コード進行を連続して演奏することで、より複雑で魅力的なハーモニーが生まれます。
この技法は、インプロビゼーションにおいても活用され、演奏者は異なるキーを瞬時に切り替えながら、多彩なフレーズを奏でることが求められます。これが、コルトレーン・チェンジが難易度が高いとされる理由の一つです。
要するに、コルトレーン・チェンジは、異なるキーの2-5-1コード進行を繋ぎ合わせることで、音楽に変化と緊張感を与える技法です。これにより、ジャズの演奏やインプロビゼーションがより豊かで表現力に
富んだものになります。コルトレーン・チェンジは、ジャズの演奏やインプロビゼーションがより豊かで表現力に富んだものになるため、ジャズミュージシャンにとって非常に魅力的な技法です。
ジョン・コルトレーンが開発したこの技法は、彼自身の作品だけでなく、多くのジャズミュージシャンに影響を与えました。彼らは、コルトレーン・チェンジを自分たちの音楽に取り入れることで、独自の音楽性を追求し、さまざまな表現を試みることができました。
コルトレーン・チェンジは、ジャズの歴史において画期的な発見であり、その後のジャズの進化に大きく貢献しました。現代のジャズミュージシャンも、コルトレーン・チェンジを研究し、独自のスタイルやアプローチを見つけることで、新たな音楽の表現を生み出しています。
要約すると、コルトレーン・チェンジは、異なるキーの2-5-1コード進行を組み合わせることで、音楽にダイナミックな変化と緊張感を与える技法です。ジャズミュージシャンは、この技法を使って、より豊かで表現力に富んだ演奏やインプロビゼーションを実現し、ジャズの歴史に新たなページを刻んでいくことができました。
